| 不動産会社は売主としての「売却業務」であろうが、売買の「仲介業務」であろうが、契約の前までに宅地建物取引主任者(国家資格者)による買主に対しての「重要事項説明」を行う義務があります(宅地建物取引業法・第35条)。また、業法で定められた説明事項以外でも、知り得た重要な問題点や瑕疵(欠点)、将来にトラブルが予測されることなどは買主に説明する義務があります。これは安全で公正な売買契約のために「業法」で定めているものです。
一般の売主にはその「業法」は該当しませんが、買主が後日になって困るようなことやトラブルが起きそうなことは契約の前に伝えておくべきです。もちろん、不動産業者は契約の前に土地建物の調査をしますが、売主にしか知り得ないこともあるものです。売主は「事実を言ったら買わないかな・・・」と思っても伝えることが大切です。
それは何故か? 人道的なことは当然ですが売主が重要なことを隠して売買契約をしても、後日にそのことでトラブルが発生した場合は買主から損害賠償の請求をされることがあります。買主にとりまして重大なことであれば、その契約の解除請求をされることも考えられます。どのようなことかと申しますと、買主は購入済みのトラブル不動産を売主に返還、売主は受取済み代金の全額を買主に返還し、そのうえに損害賠償等の責務を負うことなどです。これは重大な瑕疵(欠点)が発見された場合の数少ないケースですが実際にあることです。
そうは言いましても、一般的な売主では不動産売買の重要なこと自体が分からないこともあります。そのためにも、取扱いをする仲介会社と業務担当者には誠実で高い実務能力が求められます。「売主責任」のトラブルを回避するには、売主自身とプロであるべき仲介会社(業者)、そして営業担当者しだいなのです。
さて、売主は売却不動産を少しでも高額で売りたいものです。一般的に売主の希望価格は市場に出回っている「折り込み広告」などの販売価格を参考にします。ただし、その公開されている販売価格は売主が希望する最高上限価格にすぎません。販売希望価格はいくらでも高く決められますが、実際の売買価格(契約価格)は買主が判断し決めるものなのです。公開されている価格は参考目安にしかならないでしょう。
東京近郊で新築建売住宅が完成後6ヶ月〜1年経っても売れないことがあります。もしくは1年以上売れていない物件も中にはあります。また、中古住宅にも同じようなケースが見受けられます。 何故、売れないのでしょう? これは営業さんの努力不足も考えられますが、単に販売価格が高いだけのことが多いものです。買主は売りに出ている不動産情報を集めて比較判断をして買うものですから、高い物件は「余程そそっかしいお客様」にしか売れないでしょう。なお、東京近郊の不動産で適正な価格であれば通常2ヶ月〜3ヶ月で契約になることが多いものです(別荘地などでは1年から1年半を目安にするといいと思います)。
参考ですが、大手系仲介会社の社員さんの一部では考えられない高い価格で売却依頼を受けているケースを見聞きします。このような場合、営業さんからしますと一応は仲介市場に情報公開をしながらも、期間をかけながら売主の値下げを待つということになります。売却の依頼を受けること自体も成績の一部になるのかもしれません。結局は値下げを繰り返しながらズルズルと実勢価格に下げていく可能性が大きいものです。
ただし、売主には何らかの売る理由や計画があるものです。長期の間、売れなければ売却計画も狂い、焦り(あせり)が生じるものです。また、仲介会社が「買取り保証」を付けている場合もありますが、その買取り保証金額は「転売を目的」にしていることが多く、経費と利益、リスクを考慮した安い金額になることでしょう(大手系仲介会社が懇意にしている不動産業者に売却することも多いものです)。やはり、最初から適切な価格で売り出したほうが良い結果につながることが多いと思われます。
なお、売主が土地・建物をより良く売却するためには、敷地内と境界塀まわりの雑草・植木類、設置物、ゴミ類の整理・処分、室内の掃除・整理整頓がとても大切です。土地建物の売却は「結婚相手を探すお見合い」みたいなものですから、少しでも印象をよくすることが良い結果につながるものです。それと、買主に対して「売り込み」をする必要はありませんが、質問をされた場合には明るく答えることが大切でしょう。 |